孤影悄然

一般的若者が書いている無責任なブログです。

二番目が嫌になった僕はベヨネッタのお尻を眺めながら過去の楽園に思いを馳せる。

ふと、PS Homeの事を思い出す。プレイヤーは用意されたステージで自由に歩き回り、その辺りの人たちと雑談をしたり、一緒にボーリングをしたり、ぼけーっと何もせず風景を眺めたり。僕はあの空間が好きで暇な時にふらっと立ち寄っては名前も知らない誰かと適当な雑談をしては別れて、また別の誰かと雑談をしては別れて、と現実世界で言うところの居酒屋みたいな、そういう楽しみ方をしていた。(ちなみに僕はお酒が苦手で全然飲めないし、居酒屋の騒がしい雰囲気が苦手だ。だから、居酒屋は大嫌いな場所の一つで、あんなの全部滅んでしまえば良いと思っているが、これは完全に私怨であり、居酒屋を滅ぼす以外の唯一の解決策として僕が居酒屋に行かなければ良いだけの事だから、つまり、居酒屋は滅ぶ必要が無い。命拾いしたな、居酒屋。)PS Homeには色んな人が居た。学生、社会人、ニート、素性を明かさない人、ただの荒らし、ナンパ目的、ネカマ。皆、結構面白い話をしてくれて退屈する事は無かった。そこで新しい友達が出来たりして、初めてオフ会に参加してみたりして、と結構思い出深い場所だった。しかし、そんな思い出だらけの僕の楽園は2,3年前にサービスが終了して消えてしまった。僕は代わりになりそうな場所を探したが良さそうな場所は見つからず、諦めた。それから、3年くらい経ったある日。いつもの様にインターネットを徘徊していると「Second Life」という単語がTLを流れた。気になってツイートに記載されていたURLにアクセスして僕は驚いた。何故か。てっきり、Second Lifeはとうの昔にサービスが終了していものだとばかり思っていたからだ。PS Homeの元ネタ的存在で、仮想世界でコミュニケーションを楽しんだりするゲーム、日本でのサービスが開始した頃は企業なんかも参加したりして栄華を極めていたらしいが、その後ユーザーは減少、「今じゃ多国籍企業やそのお零れに預かる犯罪組織の巣窟。国連のネットポリスやASEANの電警も手が出せない無法地帯になっちまった。個体が作り上げた物もまた、その個体同様に遺伝子の表現形だって言葉を思い出すな」というのはイノセンスでバトーが択捉経済特区をベルチバードと鳥の間の子みたいな乗り物から見下ろした時に発した台詞でSecond Lifeとは全く関係ない話で、そして僕の記憶違いで、その後サービスは終了したとばかり思っていた。しかし、Second Lifeは生きていた。楽園を再び見つけた僕は歓喜し、早速アカウントを作り、How toサイトを巡りながら何とか日本人が運営しているSIMに到着した。しかし、何かが違う。PS HOMEとは何かが違う。流れている空気が違う。いや、ゲームが違うんだから、そりゃそうだろ、誰かに話しかけてみれば空気感を掴めてくる筈だ。とかなんとか考えていると声をかけられた。挨拶をし、今日生まれたばかりだ、と伝える。「じゃあ、色々と教えてあげますね」と、そんな様な事を言われ、SIM内にあるチュートリアルステージの様な場所に連れて行かれた。僕が新しいオンラインゲームを始めると結構な確率で親切なユーザーが声を掛けてくれて手取り足取り色々な事を教えてくれる。もしかすると、そういうのを目的にプレイしている人が一定数居るのかもしれない。有り難い話だ。移動し、基本操作を覚え、そしてSL(セカンドライフの略称)のルールを教えてもらい、楽しみ方も教えてもらった。その後、その親切な誰かさんとはお別れしチュートリアルを終えた。さあ、折角だし誰かと話してみようと思い、日本人がいる場所をすりんく(日本人が居るカフェやSIMを教えてくれる便利なサイト)で探し、適当な場所に飛ぶ。良く分からないので適当にうろうろしていると、また声を掛けられる。どうやら、現在のSLでは生まれたての人間はそこそこ珍しい存在の様で"生まれたて"というステータスを持ていると声をかけられやすい様だ。ここでもSLについて色々と教えてもらい、改めて自由度の高さに感心しつつも、そこまではやらないだろうなあ、と思いながら、その日はログアウトした。それから1週間は日本人の運営するカフェを転々として過ごしていった。そして、やめた。アカウントを消したワケではないが、全くログインしていない。最初こそ"生まれたて"ステータスのお陰で話に入っていけたが、そのボーナスタイムも2,3日で終わってしまった。既に出来ているグループに馴染めるワケが無く、何とも言えない疎外感に襲われてしまい、モチベーションが完全に無くなってしまったのだ。SLに未だにログインしている人たちは殆どが超古参で、言ってみれば超高齢化社会だ。そして、そういう古いグールプの中に入るには時間をかける必要がある。現実と同じだ。僕はPS HOMEの様な行き当たりばったりな感じを求めていたのだが、SLは違った。固定客が同じ時間帯に常に居て、話すでもない、何かをするでもない、ぽつりぽつりと少し喋っては黙る、の繰り返し、そういう場所だった。そういうのを僕は嫌う。全く面白くない。そういう関係性の人間は既に"友人"という存在が居るので間に合っている。僕は話したことのない誰かさんと気軽に話せるツールが欲しくてSLを始めたのだ。僕が間違っていたのかもしれない。いや、多分、そうなのだろう。僕が悪いんだ。良いじゃないですか、僕が悪いんだから。それで良いでしょう?と碇シンジ君ごっこはこの辺にしておく。悪い意味で現実に近いと感じてしまったSLに今後ログインする事はもう無いのだろうなと僕はベヨネッタのお尻を眺めながら過去の楽園に思いを馳せた。

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